DAIWA CYCLE株式会社(以下ダイワサイクル)は、自転車販売・修理を行っている会社です。
設立自体は1990年(創業は1980年)と古く、大阪を中心に店舗を展開していたのですが、現在では関東にも店舗を増やしつつあり、売上・利益ともに右肩上がりで勢いのある会社です。電動アシスト自転車の普及に伴い、その恩恵を受けている企業となります。2023年にIPOしてから日が浅いですが、これからより注目される企業と思います。
取り巻く環境より拡大の余地あり
自転車国内販売台数は、人口減少の影響もあり減少傾向にあります。しかし、国内の自転車販売店は、これまで個人経営が多く、店主の高齢化により廃業するケースも少なくないことから、大手自転車販売店がそれに取って代わり、拡大する余地はまだあると考えられます。前回の四半期決算では株価がストップ高となったものの、国内市場縮小のイメージで投資家の注目が株価に十分反映される前であり、投資妙味があります。
電動アシスト自転車の普及も追い風
自転車販売台数は減少傾向ですが、その中で増えているのが電動自転車です。私が学生の頃と違い、最近では電動アシスト自転車で通学している学生も見かけるようになり、一般的になったなという印象です。ダイワサイクルは、業界全体に比べて電動アシスト自転車の売上構成比が高くなっており(業界全体が39%に対して、ダイワサイクルは59%)、この分野での市場優位性が成長の原動力となっています。
便利なアフターサービス
ダイワサイクルの特徴的なサービスとして、「出張修理サービス」があります。これは街中で自転車が故障した際に、ダイワサイクルに連絡すればすぐに駆けつけ、修理してくれるものです。これまでは故障した際は、近くの自転車店を探してお店に持ち込む必要があり、特に重たい電動アシストを坂道で押すとなれば心が折れそうになりましたが、そんな心配も不要です。電動アシスト自転車の普及により、このアフターサービスも強みを発揮すると思われます。さらに、ダイワサイクルで購入した自転車であれば出張費が無料であるため、顧客を囲い込みやすく、修理代やパーツ代で稼ぐこともできます。
人材を重視した企業経営
ダイワサイクルは人材を重視した企業経営を行っています。従業員数に占める臨時雇用者の割合、ある大手ライバル企業では半数近くであるのに対して、ダイワサイクルでは10%程度となっています。これは売上に対する販管費の割合は増えるものの、強みになると考えます。先述の通り、電動アシスト自転車は増える傾向にあり、自転車の修理はより専門的な知識が求められるようになってきています。また現場で顧客のニーズを拾い、プライベートブランドの商品開発に活かすことも可能です。
高成長
売上・利益ともに右肩上がりを続け、直近の2025年1月期第3四半期決算では、前年同月比で売上約20%、営業利益で約70%の増加となっています。長期で見ても大きく成長を続け、今後が期待されます。自己資本比率が66%、流動比率が218%と高く、財務的には問題なさそうです。また、資金繰りも問題なく、営業キャッシュフローを投資キャッシュフローに回し、成長に繋げていこうとしています。
まとめ
- 一般的には国内市場は縮小のようにイメージされますが、実際は個人販売店の減少と電動アシスト自転車の普及によりビジネス拡大の余地はあり、投資メリットはあると思われます。
- 健全な財務基盤のもと、大きく成長を続けており、今後も楽しみな企業です。
出典:DAIWA CYCLE株式会社 IR情報
https://www.daiwa-cycle.co.jp/ir